断乳には、日程を決めて行う場合、急に内服や入院などで授乳が難しくなる場合や、赤ちゃんが急に授乳を卒業してしまう場合があります。
全世界での卒乳時期は4歳とも6歳ともいわれます。
先進国でも時期は色々なようです。
WHOでは、2歳まで離乳食や幼児食とともに母乳を与えるよう推奨していますし、国によっても常識は様々なようです。
卒乳断乳の理由は様々です。
環境も胸の状態も様々ですが、卒乳断乳するとママか赤ちゃんが決めると、お胸のケアが必要となります。
母乳は需要と供給でバランスがとられていますので、授乳回数が多いほど一日の母乳量が多く、今まで通りに母乳が作られるため、張り返します。どの場合も、最後の授乳の後、次の予定時間を過ぎる頃から徐々に胸が張り始めます。
1日の授乳量によって張り方は違ってきますが、ママは胸のケアが必要となります。
赤ちゃんは、月齢によりますが、母乳からミルクに切り替えが必要だったり、食事に切り替えが必要です。
① 授乳を行わずに48時間以上たつと、乳腺の内腔が倒壊し始め、40日くらいかけて妊娠前の状態に戻ります。
→ 母乳がある程度溜まった状態を48時間以上保つ。
② それまでと同じように母乳が作られて張り返しが起こる
→ 水で絞ったタオルで胸の白い部分の熱を吸収し母乳を作ろうとするのを少し抑えます。
適度に冷やすことで軽い炎症に対してもケアします。
熱の吸い取りが目的なので、暖かくなったらすぐに取り替えます。
③ 母乳が溜まって辛い
→ 部分的に残ってしまうと、その部分に負担がかかり詰まる場合があるので、最後の授乳はしっかりと吸ってもらい、片方しか吸わなかったり残った感じがある場合は搾ります。
→ 母乳を溜めることで母乳量が減っていくので、張りが落ち着き始めるまでは楽になるまでは絞りません、
最初は2~3分程度、1日2~3回位手で絞り、徐々に量と回数を減らします。
最初の1日目と2日目は寝る前に軽く絞り、朝辛ければ軽く絞り、午後に辛ければ軽く絞ります。
張りすぎて浮腫んで母乳が出ない阿合は、まず乳輪を自分側に押して少し柔らかくします。
その後胸の付け根側に上下左右から少しずつ圧をかけていくと母乳が出始めます。
それでも自分では出せずに辛い場合は、助産師のケアを受けましょう。
④ しこりができないように開通を調整します。
→ 2晩超えると、峠を越して少し楽になる方が多いかと思います。
張りが落ち着き始めるのを確認して、胸の全体にしこりが残らないように手で搾乳します。
搾り切らないことと、しこりが残らないように全体が同じくらいになるように調整するのがポイントです。
しこりができて取れない場合は、痛くなくてもそのままにせず、助産師のケアを受けます。
ここからは、1日に1回、シャワーや入浴時に開通を確認しながら2~3分以内で搾乳します。
ケアを受ける場合は、48時間前後と、可能ならその2日後に受けるとしこりなどができにくくなります。
⑤ 1週間目に、全体的に絞ります。
→ 胸のついているラインを片手で支えます。
反対側の手で付け根側から先に向けて胸に少しずつ圧を加えて、母乳を全体的に出していきます。
しこりや詰まりができている場合は、ここで必ず助産師のケアを受けましょう。
ここから先は、母乳の量が減っていくので詰まりを取るのが難しくなります。
⑥ 奥に溜まっていく母乳を出していきます。
→ シャワーや入浴で温まった時が行いやすいかと思います。
片手で胸の付け根ラインを支えて、乳輪や乳頭の母乳が出やすいところから2~3分以内で絞っていきます。
母乳は白から黄色、サラサラからトロトロ、量も減っていきます。
全体にしこりもなく、ほとんど出なくなったらセルフケアは終了です。
違和感や痛みなど見られる場合は、なるべく早くケアを受けましょう。
⑦ ケアを受ける場合は、下記をご確認ください。
断乳日はむくみやすい生理日は避けます。
飲ませていた分の母乳が溜まるため、張りで抱っこも難しい場合もありますので、念のため2日ほどは家族が手伝える日を選びましょう。
授乳回数が1~2回の方は張り返さない場合もあります。
ソフトニング母乳ケアの断乳では、張り返しを調整するセルフケアを取り入れ、過度に張りすぎないように調整していきます。
オンライン断乳講座を取り入れたセルフケアプログラムも予定しています。
言葉がわからなくても、赤ちゃんは思ったよりも色々なことがわかりますので、事前にお知らせしましょう。
基本的には、卒乳断乳当日にご来院又は訪問ケアを行わせていただき、クリンナップケアと状態に合わせたセルフケアの説明を行います。
事前にLINEでご相談いただいたり、ご希望の日時でご予約させていただくことも可能です。
卒乳断乳の経過:
断乳は、母乳の中にある断乳因子を利用します。
つまり、母乳を均一に溜めることで母乳を止めるスイッチが働きます。
部分的に強く張ると乳腺炎になる場合がありますので、注意が必要です。
① 授乳せず12時間以上たつと断乳因子がスタートします。
② 授乳せず48時間以上たつと、断乳因子により乳腺細胞は倒壊し始めます。この頃、少し楽になった感じがします。(飲ませていた分の母乳が溜まり、最初の48時間位は張りで抱っこも辛い方もいらっしゃるので、ご家族にお手伝いいただくとよろしいかと思います。)
③ 40日くらいかけて乳腺細胞は妊娠前の脂肪細胞の状態に戻っていきます。
ケア日程:
様々な時期の卒乳断乳のケアに対応しております。
① 当日(スタート時点の詰まりやしこりのクリンナップケアとセルフケアの練習)
② 48時間以降~3日目(セルフケアで取り除けないつまりやしこりの除去)
③ 詰まりやすい方や張りがつらい方、ボコボコ張っている方、セルフケアが難しい方は、②のケアから2~3日目に詰まりやしこりのみを取り除きます。
④ 7目目頃(詰まりやしこりの除去と溜めた母乳の除去)
⑤ 20日目頃(少量ずつ溜まる奥の母乳の除去)
⑥(ご希望の方は)30~40日目頃に首と胸のマニュアルリンパドレナージを行います。3月末から、胸の筋膜リリースもスタートの予定です。
★1日授乳回数が1~2回の方は、張り返しが少ないことが多く、①または②と④の2回で終了する場合もございます。
日程は一例です。
白斑や乳腺炎、シコリを繰り返している方は、張りがあり押し出しが強い数日に白斑を出すケアが必要な場合があります。1日で終わる場合もあれば、7日でようやく粒が出きった方いらっしゃいます。
卒乳断乳後の経過が落ち着いていれば、セルフケアに切り替えたり、LINEなどでフォローしながらセルフケアで経過を見て、ソフトニング母乳ケアを受けられる方もいらっしゃいます。
すでにスタートされた方や、卒乳後時間のたった方、違和感の残っている方のケアも行っております。
10か月後でも奥に溜まった母乳が出る方もいらっしゃれば、出口のない乳瘤となりMLDを行いながら自然吸収を待つ方もいらっしゃいます。
時間のたった違和感やしこりは、先に乳腺外科で診察を受けていただくと安心です。